みぞグミBLOG

描いた漫画/読んだものについての感想/日記を置いています。

〔読書BLOG〕作りたい女と食べたい女

『作りたい女と食べたい女』 著/ゆざきさかおみ

honto.jp

 

もう長いこと自炊をする気力もなく、食欲もなく、こんな様子だと自分はそう永く生きることはできないのではないか…とまで思い詰めていたここ数日。

今日もアボカドとトマトとボローニャソーセージのハムを皿に入れただけのものを食べたきりで夜まで来てしまい、「今夜こそはまともな食事をしなくては…」という焦燥感にかられていた時です。

書店で平積みされているのを見かけ、「私はまさに今、作りたい女であり食べたい女である……!!!」と、勝手に同調し手にした一冊です。

内容は私が勝手に同調した意味とは少し異なるのですが、楽しそうに料理を作る野本さん、美味しそうにごはんを食べる春日さんにつられ、私もレバニラ炒めとなめことオクラのお味噌汁を作って完食することができたので、結果的に私のことを作って食べる女にしてくれました。

作ることも食べることも生活の一部で、それを楽しんでいる人たちがいる…。
それはそんなに珍しいことではないのかもしれませんが、今の私には染み入りました。今日は自分もそれができてうれしかった。
私は作ることも食べることも苦しくなってしまっているけれど、ふたりの姿に「楽しそう…!」と心動かされたことで、なんだか明日が変わりそうな予感です。

これまで漫画は幾度となく私の心を救ってくれましたが、こんなふうに生命まで救ってもらったのは初めてです。今このタイミングで読めて良かったなぁ。

野本さんと春日さんの変にキャラ化されていない自然な人物描写も、読んでいて心が落ち着きました。
ふたりの距離が縮まっていく様子も、すごく自然なんですよね。
劇的な出来事によってではなく、積み重ねられた日々で変わってゆく。その進み方にやけに心が落ち着き、しみじみと「いいなぁ」と思いました。

f:id:mizogumi:20210916215357j:plain