みぞグミBLOG

描いた漫画/読んだものについての感想/日記を置いています。

〔入院日記〕7日目~10日目

4~6日目のつづき

入院7日目のことを書く前に、6日目の夜のことをごっそり抜かしてしまっていたので書いておく。

午後、外来の患者さんが途切れた時間帯に名前を呼ばれ、口腔外科を受診する。
自分が聞いていた内容と一部違う術式がとられていたり(術中にそうした方がいいという判断になったらしい)、思っていたよりも不自由な生活が長く続くようだということが分かり、少し気持ちが落ち込んでしまう。
私はこれからどうなるんだろうと暗い気持ちになってくる。

手術直後、あまりにつらいので、何度も時間を戻したいと思った。
手術を受けないルートを選び直したいと思った。
でも、どんな選択肢をとっても結局苦しい思いをすることになるのは同じなのかもしれない。
ベッドの上で、ある人の病気に関するnoteを読んでいたら更に気持ちが落ち込んできた。
闘病。生きていくこと。痛みへの恐怖。
全部、どうにもできないことだ。
あるものはある。くるときはくる。でも怖い。
できればもう二度と痛い思いも怖い思いもしたくない。
こういう出来事に対する自分の向き合い方を考えておかなくてはならないと思った。
どう捉えるか、どう対応していくか、それしかない。 たぶん。
なんだか不安だらけだ。昼間までの乗り越えていこうという気力のようなものが、いとも簡単に揺らいでしまう。それは結局、ただ気持ちで自分を奮い立たせているだけだからだ。

絵を描くと、多少靄が晴れるが気に入る絵はできない。
画材が色鉛筆しかないことや、決まったサイズの画用紙しかないというような制限は、いつもは楽しさのスパイスになるのに、思うように思い切り描けないことが今は少しストレスになる。

西野七瀬さんが表紙の週刊プレイボーイが欲しいのに、売店に売っていない。つらい。

過ぎればすべて大したことのない過去になるのに、回復までの1日1日がとても重たく、苦しく感じる。
いいこと、楽しいことに目を向けていきたい。でも、根拠なく、やみくもにそういう面を見出そうとするのもなんだかバカっぽい。

思考も苦悩も、永遠につづく。
適切な感じになりたい。

入院7日目

朝からスマホで手術後の回復に必要そうな栄養素を調べてノートにまとめる。
手術後の数日はエネルギーの必要量が増し、通常の1.2倍のエネルギーが必要ともいわれているらしい。
なんてこった!!流動食しか食べられないから、いつもより摂取カロリー少ないよー!
やっぱり自分でもゼリー飲料などをせっせと飲まねばならぬ。

とにかく「大丈夫!」「元気出していこう!」みたいな動機づけは、根拠がないのでいずれ破綻する未来が見える気がして好きじゃないけど、そう思えるようになるための材料・知識集め、落としどころを見つけるための思考・コミュニケーションはがんばっていこうと思った。私にできるのはこういうことだ。

退院したら、人の少なそうな朝早い時間帯に近所の河原を散歩したりしたいな。

入院8日目

暇すぎる。
暇なのに、食べることと寝ることに不自由があるというのはより暇を持て余すな…。
ツイッターでおいしそうな食べ物がいっぱい流れてくる。いいなぁ。食べたいなぁ。

食べたい

すごくゆううつな気持ちになってきてしまっている気がする。
陽の光に当たってないからかな。

斉藤朱夏さんのアルバムを聴く。やっぱりいい。
なんだろうこの、MDにダビングして聴いていた音楽を思い出させるような雰囲気は。
音楽に詳しくないので全然言語化できないのだけど、メロディラインも、言葉の選び方も、視点となっている子の価値観も、なんだかMDで音楽を聴いていた時代を思い起こさせる。
あとはWUGちゃんの曲いっぱい聴いた。
改めて、いい曲しかないと思ったよ!!!
全員の声が澄み切っていて、表情があって、すごくいい。
ことパンラジオが大好きだからか、吉岡茉祐さんと山下七海さんの歌声が特別に最高に感じてしまう。
楽曲も声優さんも最高。
こんなに最高なのにどうしてアニメのシナリオは…………いや、やめておこう。

深沢七郎の『楢山節考』を読み終える。

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石坂洋次郎氏との対談の中で、書きだめている作品について聞かれた深沢七郎が「今まで三つ、四つあったのはみんな焼いちゃったんです。焼くのが好きなものですから、自分の書いた原稿を焼くのはおもしろいもんですからね」と話していておもろかった。

夜、新型コロナについて考える。
自分と違う立場の人間について想像することはすごく難しいことなのかもしれない。それは仕方のないことだとしても、他者と健全なコミュニケーションのとれる人が政治家になってほしいと思った。
国って…。国民って…。今、みんな何を考えているんだろうと考えながら眠る夜だった。

入院9日目

いよいよ明日は退院だ!!!はやく帰りたい!!!!
家に帰ったらまず、爪を切りたい。

憂鬱な気持ちになりたくないので、朝食の前にロビーみたいな場所にある陽の光の当たるベンチに座って音楽を聴いてみる。
みんな検温をしたり血圧を測ったりしているようで、人は私しかいない。
私はもう回復を待つだけなのか、検温の回数などがぐっと減った。

今日から院内放送の内容が変わっている。
職員の方への換気の指示と、患者さんに対する「席は間隔をあけて座ってください」という指示が増えた。私が外に出ない間に、事態はどんどん深刻化しているのだろう。
保育園で働いているお友だちはまだ出勤しているそうだ。
この状況で働いている保育者や医療従事者、ドラッグストアやスーパーの店員さんたちには本当に頭が下がる。
常に危険と隣り合わせの中、誰かの危険にも気を配り、気を張り続けている。
せめていっぱいお金を配ってよと思う。
このままじゃみんなもたない。大事なものがみんな壊れてなくなっちゃうよ。

えなこさんのインスタを見て癒される。かわいい。

午後、抜糸をしてもらった。口の中にある管もとってもらった。
痛いと聞かされていたけど、口の麻痺があるからなのか、覚悟していたよりも痛さを感じなくてほっとした。
どちらかというと、口内を見るために唇を引っ張ることの方が痛かった…。血出た。
でも、終わって診察台から立ち上がった時に背中も脚の後ろも汗でびっしょりになってた。緊張していたみたい。

ああ~~~~~~おいしいごはんが食べたいよー!!
焼肉、お寿司、近所のパスタ屋さんのアラビアータ……。
ごはんのすすむおかずと一緒に白米をがつがつ食べたい。
普通の食事ができるようになるまで、まだ2~3か月もかかるみたい。
うう……麻婆豆腐……。こんなこと考えない方がいいんだろうか。

抜糸があったからかな?
夕食まであと1時間もあるのにすごくお腹が減った。
食事は全部大盛りにしてもらってるけれど、大盛り具合が毎食ごとに違うから笑ってしまう。
おもゆががっつり大盛りになってる時が一番うれしい。お昼のおもゆは少なかったな…。

もうここで眠るのも最後だ。うれしい。
暖房がついてる部屋で眠るのは、なんだか身体に負担がかかる感じがある。
でも、かといって家でもぐっすり眠れるのかなぁ。
まだ仰向けにしか眠れない。
はやくごろごろ寝転がりたい。

入院10日目(退院日)

おうちかえる

やっと退院だー!!!

朝食に折り鶴とメッセージカードが添えてあって、見た瞬間に思わず笑顔になった。こんなことをしてくれるんだ。うれしいなぁー。

画像3

そんなわけで、無事退院してきました。

これからの生活もがんばるぞ。はやくごはんが食べたい。



おわり。