みぞグミBLOG

描いた漫画/読んだものについての感想/日記を置いています。

2023年の年末に考えたこと

2014年に『STAND BY ME ドラえもん』という映画が公開されました。
当時私は、人に誘われて映画館でこの映画を観ました。
冒頭にドラえもんと小学生ののび太がタイムマシーンに乗って未来(大人になったのび太としずかちゃんが結婚式を控える前夜)に行くシーンがありました。

 

3DCGを使って臨場感たっぷりに表現された未来の世界は、発展したテクノロジーと豊かな自然が共生する町で、それは夢のようにすてきな光景でした。
物語の序盤も序盤だというこのシーンを観て、私は涙が止まりませんでした。

 

それは、映像の美しさに心が震えたからではありません。
藤子・F・不二雄先生がもしこんな未来を思い描いていたのだとしたら、私たちは全くその思いに応えられていないと感じたからです。

 

私たちは、F先生の描いた漫画を読み、そこから生まれたアニメーションを観て、生活の中で自然にキャラクター達と触れてきました。
F先生の作品は、多くの人に親しまれてきています。

 

でも、F先生が作品に込め続けたメッセージがどれだけ人の心に残っているのだろう、と考えてしまいました。
まるで作品の旨みだけが搾取されているように見えて、一緒くたにしてはいけませんが、自分たち人間が情けなくなりました。
情けなくて泣けてきたんです。

 

 

その映画が公開された日からおよそ10年の時が流れました。


ある日、「戦争や虐殺が行われている現実がつらく、何事も心から楽しむことができない」という話をしていたら、「そういうふうに社会で起こっている出来事に関心を持ったり、深く考えたりするようになったきっかけとかは何かあったのですか」と聞かれました。

 

人が殺されている現実を見て「殺すな」と言うのは当たり前のことだろ、と反射的に思いましたが、それはさておき、この会話の相手にとっては、今自分が生きる日常の中で他国で起こっている戦争や虐殺に関心を持つこと、そして何かを発言することは当たり前のことではないのか、というところに意識が向きました。
これは非難するつもりで言っているのではありません。
この人と私は違う。それはどうしてなんだろう、と疑問に思ったんです。

 

自分の中の「当たり前」について、少し考えてみました。
私は戦争がしたくないと当たり前に思っています。私が住む場所以外のどの場所でも戦争が起こってほしくないと当たり前に思っています。
それはなぜなのだろう…。

 

自分のこれまでを遡ってみた時に思い浮かんだのは、図書室で、二段ベッドの上で、祖父母の家のソファの上で、本を読んでいる自分でした。


私は幼いころから読書が好きでした。
けれど、戦争について直接的にえがかれた本は怖くてあまり読めませんでした。
当時、灰谷健次郎さんの作品が大好きだったのですが、好きな作家さんの作品でも戦争をメインテーマとして扱っているものは読めなくて、読んでいる途中でそのことに気づくと読むことをやめてしまっていました。
灰谷健次郎さんの作品で戦争を扱っていない作品を選ぶ方が難しいだろ…と今となっては思いますが…)

 

避けて知ろうとしてこなかったのに、「戦争はいやだ」「戦争は絶対にあってはならない」という気持ちが胸に深く刻まれています。

それはなぜかというと、私が子どものころは、戦争または戦後を体験している作家さんの本も多く図書室に所蔵されていて、それらの物語のいたるところに戦争の悲惨さや貧困、強く優しく生きていくことについて書かれていたからではないかな、と思いました。
私はただ本を読むだけで、それらのメッセージを受け取っていたのだと思います。

 

しかし、第二次世界大戦から80年近くの時が経ち、戦争を体験している人の作品は少しずつ町の本棚から消えて行ってしまっています。

戦争を体験していない人の方が多い、という世界はとても喜ばしいものだと思います。
でも、戦争を体験していないからその苦しみや痛みが想像できず、同じことを繰り返そうとする人が増えているのだとしたら、それは本当に愚かなことです。

 

新しい作品が発表されていく中で、昔の作品はどうしても遠くへ流されて行ってしまいます。
だから私は、今生まれる作品の中にも、平和を願うメッセージがたくさん入っていたらいいな、と思いました。
今の世界情勢を見るに、残念ながら平和を維持するためにはたくさんの人の努力が必要なようです。
だから、必死に即時停戦を求め、これ以上戦争を起こすなと反対し、私は漫画を描きまくらなくてはいけません。

 

2024年は人が戦争をしたくなくなるような、生活を営むことを手放したくなくなるような、楽しくて面白い漫画を描いていきたいです。

私は今、まともに食事も摂れないし、しかも風邪を引いているし、こんなことを言って全然実現できなかったらどうしよう…と少し不安で怖いです。

でもこういうことをやりたいと思っています。

 

 

たくさんの人が文化や芸術に触れられる社会にもしていかなくてはいけないし、やりたいこと、やらなくてはいけないことだらけで結構大変です。

色んな人と助け合って支え合って、ひとつずつ着実にやっていけたらいいな、と思います。

 

 

 

 

 

話が飛び飛びで文章の構成がだいぶひどいのですが、きれいにまとまっていなくても今これを書き留めておこうと思いました。