みぞグミBLOG

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〔読書BLOG〕つれづれなる数学日記

『つれづれなる数学日記』 著:鯵坂もっちょ

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私は算数も数学も苦手です。

いつからできなかったのか、あそこでつまづいた、などという記憶は全くなく、算数に関する記憶の始まりは、「小学校の教室の廊下になぜか自分の机だけ置かれていて、そこで問題を解いている」です。別に怒られてるとかではなく、日常的にふつうによくあったという記憶です。なので、最初からできなかったのだと思います。

私は本気のアホだったので、自分だけが机ごと廊下に出されているのはなぜなんだ、ということを悩んだり傷ついたりすることもなく、たまに様子を見に来てくれる先生が一対一でかまってくれることをよろこんだり、教育実習の先生がいた期間は自分につきっきりになっておしゃべりしてくれたことをうれしがったりしていて、なぜかいい思い出として心に残っています。

でも、中学校からは苦しかったです。
先生の話している内容が何も分からず、「じゃあ問題を解いてください」という先生の一声で一斉にみんなはシャーペンを動かし始めるのに、私は何をやればいいのか何も分からなくて、教科書の文字を指でなぞってみたり、シャーペンをこめかみに当てて考えるふりをしてみたりして、ごまかしていました。
そして、いつも白紙のプリントを裏返して、白紙だとバレませんように…とハラハラしながら集める係の人にそれを渡していました。

高校の時は、テストの点が悪すぎて、単位がもらえず進級できないかも、という状況になりました。
そうしたら数学の先生が、「教科書を全部丸写ししてきたら単位をやる」と言ったので、「これに何の意味があるんだ…?」と思いながら、一生懸命なるべくきれいに全部写しました。何時間もかかりました。

 

そうしてなんとか大人になり、もう数学の勉強を強いられることはなくなりました。
でもなぜか、私の心の中に数学は残り続けているのです。

図書館に行くと定期的に数学の棚を見に行ってしまいます。
「これは易しいんじゃないか」と感じられるものを借りてきては全く内容を理解できずに返却する、というのをこれまでに何度繰り返してきたでしょうか。
理解できないと分かっているのに、何回も読もうとしてしまうのです。

『つれづれなる数学日記』も、そうやって図書館で出会いました。

パラパラとめくってみると、すごく読みやすそうな本文デザイン。
そしてまえがきには「本書は日記です。普段数学のことばっかり考えてる奴が、世界を見るとこういうふうに見えるんだよ、という日記です。」と書いてある。

日記本は大好きだし、これなら読めるかも…と借りて帰りました。

読んでみると、数学的なものの考え方って、自分の好きなものの考え方と似ているのではないか、と感じました。何がどうとはうまく説明できないのですが、鯵坂もっちょさんが日常の中で引っかかる点とか、はっきりさせたい点、思考の広げ方などに、すごく共感を覚えたのです。
失礼ながら本文に書かれている数学の話の9割も理解できなかったのですが、でもすごく面白い本だなと感じました。

この本を読んで、私がなぜ大人になってもあんなに苦手だった数学に惹かれ続けるのか、少し気づいた気がします。
私は多分、なぜ自分は数学が理解できないのかを知りたいのだと思います。
それを知るとっかかりを、数学の棚に求めているのではないかと思いました。
だって、小中高と12年間も学んでいたのに、こんなに何も分からなかった教科は数学くらいなもので、とっても不思議です。
自分の頭が悪いから、と言ってしまえばそれまでなのですが、なんだか気になるんです。だって、12年間やって理解できたことがこんなにも少ないなんて、そんなことってなかなかない。

この日記の中で、「きはじ」や「掛け算の前後を入れ替えるな」などを始めとする数学教育の問題点について、鯵坂さんが考えを巡らせている日があります。
その問題点のほとんどが「型にはめようとするから起きているんじゃないか?」と。
そして「型にはめようとする」のは「大人数に一気に教えようとする」からではないのか、そしてそれは「教える側の人数が足りてないから」ではないか、というふうに書いています。
これを読んだ時、もしかして私もそうなのかなぁ、だから私は数学が理解できなかった可能性もあるのかなぁ、と思いました。
だとしたら、自分にもまだ数学を理解できる可能性ってあるのかな?と、少し希望というか、数学へのとっかかりのようなものがわずかに得られたような気持ちになりました。

おそらく、この本に書かれている内容は、すごく分かりやすく書かれているのだと思います。
でも、私はあまりにも無知すぎてよく分からないことだらけだったので、この本は買って何度も読み返すことにしました。そして理解できるようになりたいと思います。
何も分からないくせに、私はなぜか、数学のことが理解できるようになったらもっと色んな物事が面白く感じられるんじゃないか、と思ってしまっているんです。

 

 

 

 

 

 

 

内容が全然理解できないけど数学への興味だけで読み続けている漫画もあります。

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数学パートは一切理解できていないのですが、なんか面白いです。
ここに描いてある内容が理解出来たら、もっともっと面白いんだろうなぁ。
いつかその状況になりたい。